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「ミャンマーにおける投資環境についての一考察」

振返ると、この3年間で20回近くのミャンマー出張をしていた。

小職の場合は、殆どが中小企業をサポートする専門家としての同行出張であり、バガン遺跡などの観光地を訪れた経験が今のところない。まだまだミャンマーという国、人々の本質を知るには時間が必要だと感じている。

 

ミャンマーにおけるビジネス・投資環境についてだが、

2018年8月に新会社法が施行されて、会社の登記手続きは大幅に簡略化された。
しかし、

許認可等の手続きは相変わらず時間がかかっていると聞く。役所の担当部署により対応状況が異なるのが実態のようだ。人は簡単には変われない。

 

現在、小職の印象では多くの日本企業がミャンマーへの投資を進めているように思えるが、今年3月に発表されたJETROの「貿易・海外進出への取り組み方針と、各国のビジネス環境評価」によると、

「海外で事業拡大を図る国・地域(海外進出)」の調査ランキングでは、

2019年度は13位(調査中の10.5%)と2016~2018年の14位と一つだけランクを上げたが、

1位の中国(48.1%)、2位のベトナム(41%)、3位のタイ (36.3%)と比べるとまだまだ大きな開きがある。やはりインフラの整備がまだ不十分、ロヒンギャ問題などがいまだ未解決とかの印象も影響しているかもしれない。

 

喫緊の課題であるコロナウィルスの状況だが、先週ついにミャンマーでも罹患者が見つかり、一気に緊張ムードになっていると聞く。グローバルで物事を見ないといけない時代だが、この影響で半年から一年近くの停滞が出ると推測される。しかし、収まったその後は、投資が一気に進む可能性がある。

 

現在、小職が支援している企業の中に縫製業の会社がある。

中国の工場に加えてミャンマーでの工場建設を検討している。原材料は中国から輸入して

製造する計画であるが、今回のコロナウィルスの件で、中国だけの原料調達リスクを痛いほど感じているとの事で、原料についてもチャイナ+1を早急に検討する必要があると同社の社長が話をされていた。

 

スー・チー国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)政権の求心力が低下している中で、本年11月に総選挙が行われる。NLDが政権を維持出来るか否かで投資環境は大きく変わってくると思われるが、日本企業からの投資は引続き増えていくと思われる。

2年~3年先には、より多くの投資がミャンマーでされる事を期待している。

 

2020年3月28日

酒向 記